Webサイトデザイン初期の頃、多くの企業は「HTMLコード」というワンステップのプロセスを実行していました。誰もが「今すぐ飛び込んでサイトを構築したい」と思っていたのです。調査をしたり戦略を策定するような時間まで待てなかったのです。幸いようやく「Webサイトの設計は困難な作業であり、段階的なアプローチ(調査→戦略→設計→実装→保守)が必要である」という認識が広がってきたような気がします。すると今度は「ウォーターフォール型開発プロセスとそっくりだ。アジャイル手法だ」というかもしれませんが、情報アーキテクチャでは、これが誤った二分法になります。アジャイルプロセスは、チームが求めている目標が何か分かっているときにうまくいくのです。これから説明するプロセスは、今後作り上げていく全体図をチームが理解するのに役立ちます。設計の他の側面と同じように、情報アーキテクチャも製品の構築が進むのに合わせ改良し、繰り返す必要があります。製品が現実世界に直面すれば、変更は避けがたいからです。「戦いに備えるにあたって、私はいつも、計画は役に立たないものだと思う。それでも、計画を立てることは不可欠なのだ」といわれた米国元大統領の言葉は、言い得て妙と言えるかもしれません。この辺のイメージをもちつつ、まずは、プロセスの各段階を説明していきましょう。調査の段階は現在ある背景の情報をよく検討し、戦略チームとミーテイングを行うことから始まります。目的は、目標とビジネス上のコンテキスト、既存の情報アーキテクチャ、コンテンツ、対象としている顧客をよく理解することです。その後、情報の生態環境を探求するために、さまざまな手法を使用して一連の調査、検討を行っていきます。この調査でコンテキストの理解が深まり、情報アーキテクチャ戦略を築く基盤が形成されます。トップダウンの観点では、この戦略は一番上から2レベルまたは3レベル分のサイトおよびナビゲーションの構造を定義します。ボトムアップの観点から、ふさわしいドキュメントタイプと大まかなメタデータスキームが提案されます。この戦略によって導入までプロジェクトを導く方向性の見通しが確立でき、情報アーキテクチャに高いレベルの枠組みが提供されます。 |